本論文では、職場の「儀式:チームのメンバーが定期的に実施する意義のある集団活動」がチームの活力や意欲を高める要因となることを示し、その導入と運用の方法について論じている。筆者らは、3年間の研究を通じて、儀式がチームメンバーの意義や献身の意識を高める効果を検証し、60カ国929人を対象とした調査と広告会社における実地調査を実施した。
儀式は単なる形式的なものではなく、チームの結束力や生産性を向上させる重要な要素である。適切に設計・実践することで、心理的安全性やエンゲージメントを高め、持続可能なチームの発展に寄与する。
主な研究結果
- 儀式の頻度と数が多いほどチームのエンゲージメントが向上
- チームの目的へのコミットメントが23%向上
- 心理的安全性が20%向上
- チームメンバー間の相互理解が28%向上
- 仕事への満足度が22%向上
しかし、多くのリーダーやチームは、儀式の重要性を認識していても導入・継続できていない実態がある。
効果的な儀式の設計と実践のための5つの施策
- 信念を持って導く
- リーダーが儀式の価値を信じ、積極的に関与することが重要。
- メンバーの意見を反映させることで、参加意欲を高める。
- 儀式に意味を持たせる
- チームの戦略、業務改善、学習、関係構築などの目的に沿った儀式を設計。
- 例:定例ミーティングで「進捗」ではなく「プロセス」を振り返る。
- 参加を徹底する
- 儀式は業務の一部と認識させ、必須のミーティングと同等の扱いをする。
- チーム内で責任者を決め、運営を主体的に行う。
- 信念を持ち続けながら、実践方法を適応させる
- 組織の変化に応じて儀式を進化させる。
- 効果を定期的に評価し、改善を図る。
- 成果を測定し、継続を促す
- 定性的・定量的に効果を測定し、成功体験を共有。
- 成果が実感できると、チームの定着率が向上。
詳細は下記参照。定期購読登録が必要です。
“The Surprising Power of Team Rituals,” HBR.org, January 17, 2025.