脳科学者・中野信子氏が自身の半生と脳科学の知見を交えて、人間の心理や行動の深層を解き明かした一冊。承認欲求や不安、正義感、健康志向、ポジティブ思考など、八章に渡り現代社会で多くの人が抱える心理的側面を脳の仕組みから分析している。
例えば、第三章「正義中毒」では、正しさを追求するあまり他者を攻撃する心理や、第四章「健康という病」では、過度な健康志向がもたらす弊害について考察している。また、著者自身の経験を通じて女性としての生きづらさや社会からの期待、個人の内面に潜む複雑な感情についても触れられている。
脳の働きを理解することで人間関係や自己理解を深め、現代社会の病理を乗り越えるヒントを提供している。2023年2月、中野信子著、272ページ。