多くの組織において秘密保持は不可欠な業務であり、競争優位性や法的コンプライアンスを維持する上で重要な役割を果たす。しかし、秘密保持は従業員のウェルビーイング(幸福度)に対して負の影響を与える可能性がある一方で、適切に管理すればポジティブな効果をもたらすこともある。本研究では12,000人の従業員を対象に調査を行い、秘密保持のコストとメリットを明らかにしている。組織は、秘密を守ることの意義を明確に伝え、仲間意識を強化することで、従業員のウェルビーイングを高めることが重要である。
秘密保持の影響
- ネガティブな影響(コスト)
- ストレスと孤独感:秘密を守ることで、同僚や家族とのコミュニケーションが制限され孤立感やストレスが増加。
- 仕事の評価の難しさ:自身の貢献を公にできないため、仕事の意義を感じにくくなる。
- 職場外での影響:ステータスの高い仕事をしているにもかかわらずその内容を家族や友人と共有できず、フラストレーションが溜まる。
- ポジティブな影響(メリット)
- 信頼とステータスの向上:機密情報を扱うことは組織からの信頼の証であり、自己の価値や重要性を感じられる。
- 仕事の意義の強化:秘密保持が企業の成功に直接貢献していることを認識すると、仕事に対する誇りが高まる。
マネジャーと組織が取るべき戦略
- 共通体験の活用
- 秘密保持を負担ではなく、仲間意識を生む要素として捉えることでストレスを軽減。
- 機密情報を扱う従業員同士が支え合える文化を醸成。
- 秘密の意味をリフレーム
- 秘密保持を信頼と成長の機会として強調し、罰則よりもポジティブな側面を前面に出す。
- 「なぜ秘密を守る必要があるのか」を明確にし納得感を高める。
- 秘密保持の必要性を正当化
- 従業員が秘密を守る意義を理解できるよう透明性をもって説明する。
- 意味のある仕事として認識できればストレスの軽減につながる。
- ウェルビーイングを支援する
- 秘密保持が従業員のストレス要因にならないよう適切なメンタルサポートを提供。
- 上司が定期的に従業員の状況を把握し、負担が過度にならないよう配慮する。
詳細は下記参照。定期購読登録が必要です。
“Research: How Keeping Organizational Secrets Impacts Employees,” HBR.org, December 02, 2024.