本論文は、組織におけるインクルージョン(包摂性)の本質と、それを効果的に育む方法について論じている。従来のDEI(ダイバーシティ、公平性、インクルージョン)施策は、温かく友好的な雰囲気づくりに重点を置きすぎており、実際には従業員の仕事への意欲や組織への貢献感を高めることに直結していないと指摘する。
インクルージョンとは、単なる親しみやすい環境をつくることではなく、従業員が仕事を通じて価値を発揮できる機会を提供することにある。マイクロインクルージョンの実践が特に女性の帰属意識を高め、組織全体のパフォーマンス向上につながることが示された。企業は、より実践的でポジティブなDEI施策を取り入れることで持続可能なインクルーシブな文化を構築すべきである。
主な主張
- インクルージョンとは「温かさ」ではなく「貢献の機会」
- 真のインクルージョンは、従業員が自身の能力を発揮し、仕事を通じて組織に貢献できる環境を整えることにある。
- ハッピーアワーや社内イベントなどの施策だけでは、深いレベルの帰属意識や適合感を醸成するには不十分である。
- 従来のDEI施策の問題点
- 多くのDEIプログラムは否定的な側面(偏見の排除など)に焦点を当てすぎており、対立や反発を生むことがある。
- インクルージョンは、組織のミッションと結びつけて共通の目標を持つことで自然に促進されるべきである。
- 「マイクロインクルージョン」の重要性
- 小さな意識的な行動(例:アイデアの傾聴、貢献の評価、リソースの共有)が、従業員の帰属意識を高める。
- シリコンバレーのテクノロジー企業での実験では、マネジャーが従業員のアイデアを尊重しサポートすることで、特に女性の帰属意識と適合感が顕著に向上した。
- 実験結果の示唆
- マイクロインクルージョンを実践したグループでは、帰属意識や適合感が男女ともに向上(男性23%、女性35%)。
- 一方、単なる社交イベントでは同様の効果は得られず、組織へのコミットメントや自信の向上は限定的だった。
- マイクロインクルージョンの実践方法
- 同僚としてのアクション: 発言しにくいメンバーに意見を求める、リソースやアイデアを共有する。
- マネジャーの役割: チームメンバーの貢献を評価し、サポートする文化を醸成する。
- リーダーの役割: インクルージョンを組織のミッションと結びつけ、具体的な行動指針を示す。
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“The Power of Small Acts of Inclusion,” HBR.org, December 24, 2024.