企業の長期的な繁栄には、「パニック(過剰反応)」と「消極性(過小反応)」という両極端のリスクを同時に乗り越えることが不可欠である。企業の所有形態(上場/非上場、家族経営など)はそのリスクの現れ方に大きく影響する。
- 極端に走らず、変化に対して柔軟でありながら、核となる価値や使命には一貫性を持つ。
- 自社の所有形態の強みと弱みを理解し、それを補完する組織的な仕組みを築いている。
- 「慎重な挑戦」を継続し、長期的価値創出のための意識的な選択をしている。
所有形態と行動傾向
- 上場企業:市場からの圧力で短期的利益を優先し、変化に過剰反応しがち(=パニック型)。
- 非上場企業:市場の規律がないため現状維持に陥りやすく、変化に鈍感になりがち(=消極型)。
➡ 両者のリスクを自覚し、バランスよく行動する必要がある。
5つの視点からの分析
① 企業規模:多角化と集中のバランス
- 上場企業は過度な拡大で中核事業を見失いやすい。
- 非上場企業はリスクを取りにくく、依存度の高い構造になりがち。
- 例:ニューバランスは中核を維持しつつ、長期視点で着実に事業を拡張。
② ビジネスモデル:混乱と一貫性の狭間で
- 上場企業:変化に追われ過ぎてビジネスの核を見失う危険。
- 非上場企業:変化を過小評価し、変化に遅れやすい。
- 例:カルヴァハル社は事業構造を大きく転換しつつ、文化と信念は維持。
③ リーダーシップ継承:伝統と刷新の両立
- 上場企業:外部登用で文化不一致リスク。
- 非上場企業:内部重視で変革の機会を逃しがち。
- 例:ホワイトキャッスルは社内候補を育成し、チームとして承継。
④ 投資の時間軸:短期成果と長期コミットメントの両立
- 長期的企業成長には、現在の成果と未来の可能性の両方に投資する必要がある。
⑤ 資本構成:柔軟性と自律性の確保
- 上場は資金調達が容易だが、過度に株主の意向に縛られがち。
- 非上場は自律性がある一方、変化への投資に慎重になりすぎることがある。
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“How a Company’s Ownership Model Shapes the Mistakes It Makes,” HBR.org, February 21, 2025.