付加価値の高い人材とは、「思考の質と適用の仕方」に長けた人。4つの思考スキルは、リーダーやマネジャーが部下に身につけさせるべき核心的な能力であり、AIなどのツールを活用しながら育成していく必要がある。
■ 付加価値とは?
- 期待された水準を超える成果を出すこと。
- 問題を単に解決するのではなく、「本質的な課題を見抜き、予想外の方法でより良い結果を導く」こと。
■ 付加価値を生む4つの思考スキル
以下のスキルは自然に身につくものではなく、意識的に訓練する必要がある。
1. 専門的思考
- 特定分野の深い知識と経験に基づいた思考。
- 過去の経験則やルールにより、迅速かつ的確に判断・対応が可能。
- 例:エレベーターの不具合に専門家を呼んで対応する。
- 限界:他分野には通用しない。AI出力を見抜く力も専門性に依存。
2. 批判的思考
- 専門的思考をいったん止めて、前提を疑う・問い直す思考。
- 情報の質や正当性、多角的な視点を検討する。
- 技法:リフレーミング(問題の見方を変える)
- 例:交通渋滞の問題に「道を広げる」のではなく「車の数を減らす」方向からアプローチ。
- AI活用のヒント:
- 「自分の前提は何か?」
- 「他者の視点で見るとどうか?」
- 「意思決定前に集めるべき情報は?」
3. 戦略的思考
- 長期的な目標達成のために、優先順位やリソース配分を最適化する思考。
- 変化や不確実性に対し柔軟に対応しながら、最終成果へと導く力。
- 具体的には「やらないことを決める」ことも重要。
- 例:短期的な不満対応(エレベーター改修)ではなく、中長期での顧客満足を重視した対応策の検討。
4. システム思考
- 問題を単体で捉えず、因果関係や構造全体を俯瞰して考える力。
- ある施策が他の領域にどんな影響を与えるかを想定できる。
- 例:フィードバック研修の依頼に対して、社員が「そもそもフィードバックしたくない」状態にあるという本質的構造を見抜き、習慣化の仕組みを提案。
◆ 課題と提案
- 多くのリーダーやマネジャーはこれらの用語を使っていても、定義や活用シーンを十分に理解していない。
- 「批判的に考えてほしい」と言いながら、実は「専門的な思考力」を求めていることもある。
- 4つの思考は、それぞれ異なる目的と役割を持つ。まずは違いを理解し、適切な場面で使い分けることが重要。
詳細は下記参照。定期購読登録が必要です。
“The 4 Types of Thinking Leaders Need to Practice-and Teach,” HBR.org, February 24, 2025.