リーダーシップの新しいパラダイム「リーディングスルー」(Leading Through)を提唱している。従来の「パワーオーバー」(力による支配)に基づくリーダーシップモデルは、人々や組織の潜在能力を制限するものであるとして批判され、その代わりに「リーディングスルー」の考え方が示されている。この新しいモデルは人間性を中心に据え、魂(ソウル)、心(ハート)、精神(マインド)を活性化することで持続的な繁栄を実現するリーダーシップを目指す、としている。
主なポイント
- パワーオーバーからの脱却
- 従来の権力と統制に基づくリーダーシップモデルは、短期的な成果を追求するあまり長期的な成長や人間性を犠牲にしてきた。
- パワーオーバーのモデルでは組織の中で不満が蓄積し、バーンアウトや不安、職場でのハラスメントといった問題を引き起こしている。
- リーディングスルーの特徴
- 人々を気遣い、成長を支援し、困難な課題を解決するリーダーシップ。
- 「魂」「心」「精神」の3つの要素を活性化させ、組織を繁栄させる。
- 共感や透明性、共通の目的といった道徳的価値観を共有し、組織内に「光」をもたらす。
- 実践例:クリーブランド・クリニック
- 患者体験に焦点を当て、共感を組織の核とした取り組みを行った結果、患者・従業員の満足度や医療成果が大幅に向上。
- このようなシフトは、組織の成長と収益の向上にもつながった。
- 光と潜在力の活用
- 組織の「光」を増やすことで、人々に良い影響を与え、活気づける。
- 人々の成長や潜在能力を引き出すことが、組織の活力を高める鍵となる。
- リーダーシップの本質を「LIVE」というフレームワークで捉える。その頭字語は、人々が仕事に打ち込んで成長する手助けをする4つの要素──愛(Love)、インスピレーション(Inspiration)、活力(Vitality)、表現(Expression)である。
- 結論
- 真のリーダーシップとは、正しい行いを追求し長期的な価値を創出する道徳的な行為である。
- リーディングスルーは、リーダーが他者とともに成長し、組織に良い影響を与えるための新しいリーダーシップの枠組みを提供する。
この論文は、従来の権力中心のリーダーシップを見直し、共感と人間性に基づくリーダーシップへの転換を強調している。これにより個人と組織の両方が繁栄し、持続可能な未来を築くことが可能になると述べている。
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“Shift Your Leadership from ‘Power Over’ to ‘Leading Through’,” HBR.org, October 09, 2024.